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第五百七十八話 ヴァンパイワ [怪奇譚]

 なぁ、こないだキャンプ場に行ったときに、岩登りをしててね、ロックの中

腹にあった小さな洞窟から突然コウモリの集団が飛び出してきて驚いたん

だ。危うく足を踏み外すところだった。だけどね、ぐっと踏ん張って堪えたん

だが、コウモリが居なくなった後の同kつを覗くと、入口のところに奇妙な形

をした小さな岩を見つけてね。どう奇妙なのかって? 見る角度にもよるん

だろけど、バットマンのマークっていうか、コウモリの口っていうか、なんか

そんな感じに見えるんだ。ここにあるのかって? ああ、そうだね、見せた

方が早いね。ちょっと待ってて。取ってくるから。

 ほぉら、これなんだよ。動かすときはこうして布にくるんで注意している。

壊れないようにね。普段はこれを寝室の棚に置いてあるんだけど、ちょっと

格好いいだろう? え? 痩せたかって? なんだよ急に。だけどそうなん

だ。なたバテだと思うんだけど、最近激痩せしはじめてね。それだけじゃなく

って、貧血気味なんだ。何? 医者? ああ、癌検診はしてるし、今程度は

痩せたかったから、ちょうどいい。医者なんて、行く必要もないし。岩を見せ

ろって? ああ、いいよ。首? 何、ぼくの首がどうしたって? おいおい、

なんなんだ。なんともない? そりゃぁなんともないに決まってる。腕を見せ

ろだって? 気味悪いな、なによ。ほら、腕。え? 掌の穴は何かって? あ

あ、この岩を持った時に、どっかで引っ掛けてしまったらしい。皮が剥けた。

いつかって? そりゃあ、この岩を拾ってからだからね、二週間ほど前か。

そのときにつけた傷にしては治りが悪い? 確かに、そうだけど・・・・・・そん

なに気にするほどのことでも。えっ? 何? 何よ。急に恐い顔して。やめて

よ、脅かしっこなしよ。え? この岩? 捨てろって? なんで。せっかく拾っ

たのに、やだよ。死ぬぞって? どういうこと。お前、おかしいんじゃないの?

何? ヴァンパイア? 違う? ヴァンパイワ? なんじゃそれは。ヴァパイア

って吸血鬼だろ? あのホラー映画に出てくる。そういえば、お前はホラーオタ

だったよな。違う? ホラー現象研究家?  なんだよ、それ。格好良すぎるぜ。

それはまぁいいとして、何? この岩はヴァンパイワだって? なんじゃそれは。

え? なに、ヴァ? ヴァンパい、わ? ヴァンパ岩! 血を吸う岩? そ、そん

なものあるのか? この岩が? 俺の血を吸っている? 夜な夜な? うそ!

そ、そんな。気味悪い。やるよ、この岩、お前にやるから、処分してくれ。頼む!

 え? いいの? 持ってってくれるの? つ井手だからだって? ついでって

なんの? もう一個あるって? 何。お前鞄から取り出したその丸い黄色いの

フルーツだろ? なによそれ。パパイヤ? 南国の、果物? あそう。それが

どうしたの? 別の友人のところから引き上げてきたところだって? パパイヤ

を処分するついでにこのヴァンパ岩も処分してくれるの? そう。だけどさ、な

んでそのパパイヤを処分しなけりゃあなんないの? 腐ってるの? なに、そ

の果物の名前が・・・・・・ヴぁん・・・・・・パパイヤ? 吸血パパイヤ、ヴァンパパ

イヤだって! ほんまかいな!

                                   了

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読んだよ!オモロー(^o^)(2)  感想(0)  トラックバック(0) 
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