第千十一話_short 母親 [超短編]
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第千十一話_short 母親
親初めて出かけた子水入らずの温泉旅行でくつろいだ気分がそうさせたのだろう、娘は常々不思議に思っていたことを口にした。
「お母さん、わたしはお母さんにちっとも似てないね、どうして?」
訊かれて母は少し困った顔になって答えた。
「いつか話さなきゃあと思ってたんだけど……あなたを産んだのはわたしじゃないのよ」
娘は驚いたが、愛する母のために言った。
「でも、あたしのお母さんは、やっぱりお母さんだけだと思うわ」
「そう、ありがとう。母さんうれしいわ」
「うん、さぁお母さん、早く温泉に浸かりましょう」
二人は仲良く大浴場に消えて行った。男湯と書かれた扉の向こうへ。
了
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