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第七百五十話 ウルトラ怪獣 [文学譚]

 伝説のテレビドラマが復活した。もう四十数年前に衝撃的に登場した円谷特撮番組だ。怪獣番組と言ってしまえばそういうことなんだけれども、当時はまだ映画館でしか特撮怪獣など見れなかった時代で、子供のみならず、大人も見てたようだ。ただの怪獣もにではなく、いまでいえば、世にも奇妙な物語といった風情の番組だったからだ。
 一年間オンエアされたあと、ウルトラマンというヒーローが登場して、ウルトラファミリーの黄金期がやってくる。その頃の円谷仕事は伝説的になり、半世紀近くすぎたいま、当時の子供が管理職以上になってなお、円谷マニアが多いのだ。DVDも死んだすべて出てるし、テレビでも何度も再放送されていたが、去年、モノクロだったアーカイブがカラーになって再登場した。その上、今年になって四十年ぶりにセカンドシーズンとして、新たな番組が放送されているのだ。
 新たな特撮番組は、昔と同様に、毎回怪獣や不思議な人間が登場する、奇妙な物語だ。たとえば、どんな汚れモノでも綺麗に洗濯してくれるクリーニング店の主人はなんでも綺麗にできる超能力を持った怪獣だ。その怪獣が、商店街の一員として生活しているという・・・・・・。
 ある噂を耳にしたことがあるんだけれども、宇宙人との遭遇を描いたハリウッド映画や、世界の終わりを告げる映画は、実は事実をそれとなく世間に公表する手段であるという。それは真実かどうか定かではないが、少なくとも怪獣や宇宙人が人間の中に混ざって生活しているという話を描いているこのウルトラニューバージョンは、真実に違いない。それが世間に真実を知らしめる目的を持って作られたのかどうかはわからないが、困るのだ。
 超すごい洗濯能力を持った者、守銭奴のように金が大好きな者、誰とも口を聞かないのにすべてを理解する者、こんな者どもを怪獣に見たてている、いや本当は怪獣そのものなのだが、テレビで表現されることによってクローズアップされてしまう。それが果たしていいことなのか悪いことなのか。つまり、他者とは違った姿や能力の怪獣が存在していることを、人々は信じるのか、排除しようとするのか。
 私は新たなドラマを見ながら、描かれた怪獣たちの姿を懐かしくも思い、また不安にも思って、背中に大きく生え揃った飾り鰭が熱を帯びて震え出すのを止めることができないでいるのだ。
                                             了

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