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第七百四十四話 三つ子の魂 [文学譚]

 もぅっ! おかしゃんたら、もう! なんでおこるか。ぼくわ、なにもして

ないのにぃ。わるいことしたらいかんて、ぼくしってるから、わるいことな

にもしてないのに。おかしゃんがおやつくれないからわるいん。たなの上

にまんじゅうあたからたべた。おなかすいたもん。それ、おかしゃんわるい。

ぼくわるくない。ぼくがおかしゃんおこったる。もう! こら! おかしゃん!

 あれ? おかしゃん、どこいたか? さっきいたやん。ぼくおこっていたや

ん。え? え? なんで? おかしゃん、どこいた? あれ? あれっあれっ?

いややん。おかしゃん、どこいたか? ぼくわひとりか? あーん、おかしゃん!

おかしゃん、いなくなたらいやや! ぼく、ひとりいやや。おかしゃーん、おかしゃ

ーん! どこー? どこー? あーん! おかしゃーん!

「ただいまー。あれ? あんた何してるの? 泣いてたの? ばっかじゃない?

私、あんたにお菓子取られたから、買いにいってたんじゃないの、そこのコンビニ

まで。しかし、困ったわねぇ。あんたすぐにそんな風になってしまうんだから、都合

が悪くなると。もう、子供じゃないんだから。しっかりしてよ、あんた!」

 おかしゃーん、帰ってきた? え? こんびに? おかし? また買ってきたの?

ちょーだい、ちょーだい! ぼくにもちょーだい!

「うるさい! あんた、今さっき、食べたじゃないの!私の分まで。太るわよ! だ

から私の分しか買ってきてないの!」

 ええー? じぶんらけ? ずるいーずるいー。ぼくもぼくも! 

「もう! いい加減にしてよ。私はあんたのおかしゃんじゃないってば! 早く、そ

んな赤ん坊みたいな服、脱いで。ええ? オムツまでしてるの? いやだぁ、この

人ったら。え? 惚けた時のための練習? あんた変態かっ! もう知らない! 

あたしもう、耐えられないわ、あんたのその変態に。出てく!」

 あっあー! 待って! ごめんー。だって。ぼく、これ……ちゃんと訳が……。

「いーや。もうあんたの理屈なんて聞きたくないわ。三つ子の魂百までって言い

たいんでしょ?もう聞き飽きた。そんなわけの分からない理屈。屁理屈っていう

のよ。あんた、ただそうやって変態遊びしたいだけじゃなの。もう、知らない!」

 ああーん、おかしゃーん、おかしゃーん、行かないでぇ。捨てないでぇ。ちょ、

ちょっと待てやぁ。俺、ホンマに怒るで。おい、待ったってくれ。奥さん!ちょちょ!

おーーーーい! 帰ってきてくでー!

                              了


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