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第八百二十九話 デジャビュっぽい [日常譚]

 若い頃には、よくデジャビュというものを経験した。デジャビュとはいまさら説明もいらないと思うけれども、あれ? 「いま起きたことと同じことが前にもあったぞ」とか「いま話したのと同じことを同じ場所で話したぞ」みたいな、日本語で言うと既視感というものだ。それはなんとも不思議な感覚で、まるで自分が未知の領域にいるのではないだろうかなんて思ってしまったものだ。しかし最近そういうデジャビュ体験がまったくといっていいほどなくなってしまった。それは年齢を重ねてしまったせいだろうか。加齢によってそういうものを感じる感性が磨り減ってしまっているからだろうか。それとも単に過去のことを忘れてしまっているからだろうか。過去の体験を忘れているならば、当然同じことが起きても前と同じことがなんてことは起こりえない。忘れているのだからね。まさか自分がそこまで惚けてしまっているとは思わないが。

 ところで、最近の自分自身になんだか何ともいえない違和感を感じたりするのだ。たとえば……若い頃には、よくデジャビュというものを経験した。デジャビュとは「いま起きたことと同じことが前にもあったぞ」とか「いま話したのと同じことを同じ場所で話したぞ」みたいな、既視感というものだ。それはなんとも不思議な、まるで自分が未知の領域にいるような感覚だ。しかし最近そういうデジャビュがなくなってしまった。齢のせいだろうか。感性が磨り減ってしまったのだろうか。まさか過去のことを忘れてしまっているから同じ体験をしてもわからないなんてことはあるまいが。私はそこまで惚けていないぞ。

 いろいろ考えていると、なんか違和感が生じることがある。それは昔よくデジャビュというものを経験したような。いま話したのと同じことを言ったような、なんともいえない不思議な感覚。しかし最近は歳のせいか、そういう既視感がなくなってしまった。齢のせいかと思うのは、物忘れが増えているような気がするからだが、まさか自分がそこまで惚けているとは思えない。

 ところで最近、若い頃の自分とはちょっと違ってきているような、デジャビュみたいな……。

                                  了


 

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