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第八百十九話 ローカル中継 [日常譚]

 本日未明、関西方面で発生した地震は、震度六を示していましたが、幸いいまのところの被害報告は最小限に留まっているようです。現地と電話でつながっていますので、お話をうかがってみましょう。地元市役所の大坂さん、なにか被害は出ていますでしょうか?

「あ、もしもし。えー、聞こえますか? 地元市役所庶民課の大坂です。はい? なんでっか? ああ、被害ね。ええ、まぁ、今のところは大きな被害は報告されておりまへんな」

 そうですか、で、大坂さんも揺れは感じられたのですか? どういう状況だったのでしょう?

「ええ、ええ、もちろん、揺れました。私も家で寝てたんですわ。なんや揺れたような気がしてパッと目が覚めましたわ。ほんで慌てて置きましてん。布団の上でおったらなんやゆーらゆーらしとるから、ああ、こらあかん、地震や! 思て飛び起きましたがな。ほんでな、そや、わしは庶民課やさかいに、役所へ行っていろいろ対処せんならんな思て慌ててここへ来たっちゅうわけですわ」

 そうですか。たいへんでしたね。それで街の様子はどうでしたか?

「そうでんな。ここに来るまで、特には変わった様子もおまへんでしたけど、十件ほど入った電話では、家の塀が倒れたとか、壁にヒビが入ったとか、案外小さな被害はあるようですわ」

 人には被害はなかったのでしょうかねぇ?

「はぁ、そうでんなぁ。ああ、そうそう、ひとり、なんや揺れてるときに足下がふらついてこけて怪我したっちゅう女性と、家の中で慌てふためいているときに柱に頭をぶつけたっちゅう老婦人が一名、今のところ怪我したという報告はそんなもんですわ」

 ははぁ、そうでっか……いや、あの、そうですか。それでは余震もあることでしょうから引き続きご注意して対処に取り組んでください。

「ああ、おおきに。東京もまたいつ地震来るやわからんから気ぃつけなはれや」

 ええ、毎度おおきに。関西地元の様子をお届けしました。ほんだら、次のニュース行きまひょか……。

                                了


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