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第九百五十二話 おっぱい吸う太郎 [日常譚]

 飼い犬の花子は、何度かの交配に失敗して母親になれないまま十歳になった。ところが二年前に縁が あって捨て猫を飼うことになったのだが、我が家に来た子猫の太郎に対して犬の花子がどんな応対をするかと心配していたら、憂う必要もなくことさらに花子は 子猫を可愛がるようになった。間もなく二匹が塊になって眠っていると思ってよく見たら、子猫の太郎が花子のおっぱいに吸い付いているのだった。もちろん妊 娠の経験がない花子なのに、疑似妊娠とでもいうのだろうか、量は多くないのだろうが確かに乳が出ていて、子猫は美味しそうにちゅぱちゅぱ吸っていた。花子 は白地に茶と黒い模様が入っているのだが、太郎もまた白地に黒い模様が入っているので、花子はその似通った模様のために子供だと思い込んでいるのだろう か。

 犬が猫に乳をやるものだろうかとインターネットで調べてみると、近頃犬と猫の両方を飼っている人は少なくないからなのか、案外同様な ケースがあった。猫が子犬に乳をやるケースだってあるようだった。それでもめずらしいと思って動画をネットで配信してみたが、まったくヒット数が上がらな かったのは、やはり珍しいものではなかったということなのだろう。

 それから一年後、もはや成猫となり乳離れをしたと思っていたら、さらに 半年後、またしても太郎が花子の乳を吸い出した。花子もまたごろりと床の上に転がったと思うとさぁさぁ吸いなさい、吸ってくださいとお腹を上に向けておっ ぱいに吸い付きやすい体勢をとるのだ。子猫と犬なら絵になるが、大きくなった猫が中型犬の乳に食らいついている様はなんだか奇妙な感じだ。それでも日に 二、三回そのような姿を眺めているとやはり微笑ましいものであるのには違いなかった。

 太郎がみゃぁ〜とねだると、花子がいそいそと近づいて目の前でごろんと横たわり腹を見せる。太郎はのそのそと花子に近づいてそのおっぱいにしゃぶりつく。なんだか変な感じ、でも可愛い。

 ピンポーン。

 玄関のチャイムがなる。

 はいはーい。

  いつもの宅配便の若いお兄ちゃんだ。私はいそいそと玄関に向かい、鍵を開ける。宅配のお兄ちゃんが差し出す荷物を受け取って伝票に印鑑を押す。用事が終わ るとイケメンのお兄ちゃんはいつものようにすっと中に入って靴を脱ぐ。玄関横は私の寝室。そのドアを開けてベッドの上にごろんと横になる。お兄ちゃんはす ぐに服を脱いで私のブラウスをまさぐり上げる。さほど大きくはない形のいい乳房があらわになって、お兄ちゃんがピンクの肉にしゃぶりつく。ああ、太郎ちゃ ん。思わず彼の名を呼ぶ私。ちゅぱちゅぱと音がして、私は恍惚感に捕らえられる。

                                了


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