第百六十二話 鉄骨の肩こり。 [空想譚]
最近、歳のせいか肩こりがひどい。若い頃は肩が凝るどころか、マッサージを受け
たいと思った事なんて一度もなかったのに、この頃は三日に一回といわず毎日のよう
に整体院にかよっているありさまなのだ。
そもそも何でこんなに肩こりになったのかというと・・・それはわからないけど、
ひとつには経年による身体全体の疲労であろうし、もうひとつ考えられるのは、姿勢
の悪さだろうと思う。最初は足の裏が痛くて足裏マッサージなんてのに行ってたのが、
マッサージって不思議なもので、自覚している場所をもんでもらうと気持ちいいのは
間違いないが、特に自覚していない場所でも、マッサージを受けると意外と気持ちよ
く、ああ、こんなところも凝ってたんだと気付かされる。
気がついたときには、足裏だけでなく、身体中が凝り固まっているのだった。その
上最近では、変形性頚骨なんてものも発症しちゃって、腕は痺れるは、右肩だけが異
様に凝るはで、もう大変なのだ。
肩を動かすとまるでさび付いた機械のようにギリギリギリと呻くし、首を回しても
ギギギギ・・・と壊れたマシンみたいだ。もし出来る事なら、骨ごと新しい部品と取
り替えてもらいたい。それが無理でも、いったん身体から首や肩や腕を取り外して、
油に浸してオーバーホールしてもらいたい。
まぁ、いくら科学が進歩しているとはいえ、そんな事は金輪際出来ない事は判って
るけどネ。それにしても、せめて身体のあちこちに浮き出している錆は落としたいの
だが、これを自分でやるとなると手が届かないところや皮膚の下がほとんどだから、
難しい。かといって錆取り屋に行くとすごくお金がかかるというし。結局、庶民は我
慢して朽ちていくしかないのかな。
ギギギギ。ギリギリギリ。ガシッガシッ。動くたびに身体のあちこちにあるギアが
叫び声を上げる。どこかの宇宙にいるという有機生物ならこんな事はないのだろうな。
我らマシン類は金属で出来ているから、どうしても酸化によって錆ついてしまうし、
経年で磨り減ってしまって再生していけない。これはもう、我ら無機生物の宿命なん
だろう・・・ある医師から言われたことの受け売りだが、私は繰り返しそうつぶやい
ては、永遠に続くと思われる肩の痛みに耐えるのだった。
了
Facebook コメント
肩こるよね、、、
カメラ背負ってるせいか背骨が曲がっていく気がする(^^;
by (。・_・。)2k (2011-07-06 18:46)
(。・_・。)2kさま、お久しぶりです、コメントありがとうございます。
カメラ、重そうですね。カメラっていうか機材全部ですよね?
by momokumi (2011-07-07 10:32)