第百十二話 偽りのツイッター。 [日常譚]
webでこれを読んでいる人ならツイッターというものをご存知かと思うが、インタ
ーネットを通じて特定多数な人々をつなぐツイッターが世界中で流行している。ひと
り一人は百四十文字以内で自分のツブヤキを書き込むのだが、フォローといって、お
互いにつながりあって、お互いのツブヤキを読んだり返事を書いたりして広がってい
くものだ。知り合い同士でつながる場合もあるが、全く知らない人とでも、このツイ
ッターを通じてつながりあえる。顔も見たこともない人とのつながり。これを怖いと
思う人もいるのだろうが、多くは楽しみに思ってお互いにやり取りをしている。
会ったこともない相手のことを知る手立ては、書き込まれたつぶやきの内容と、各
人が記入しているプロフィールの内容だけ。 アイコンが自分の写真ならなおイメージ
しやすいが、それとて本人かどうかは定かではない。どうしてこのような不安定な関
係のコミュニケーションに世界中がはまっているのか、不思議に思うが、”情報の速さ
と広さ”、”未知なる相手との一期一会”、”自由な自己表現”等がその理由ではないかと
私は思う。
ツイッターを知らない御仁は、そんな知らない人とのコミュニケーションを求める
なんて、よほど友達がいないのか、寂しい人たちなのねと言う。だけど、もはやそう
いう次元は越えて、従来とは全く違ったソーシャル世界が出来上がっているんだよと
思う。とはいうものの、現実社会では人とのコミュニケーションが苦手、さらにいえ
ば人付き合いが怖いと感じる私にとって、ツイッターはとてもありがたいシステムだ。
おっしゃるとおり、私は寂しい人間なのだ。でも、ツイッター上ではたくさんのフロ
ォアー・・・友人がいるのだ。
「nanasi おはよう!今日もいい天気です。」
「onoko おはよ。僕はまだベッドの中なう。」
「kukki 夕べはまた地震!いつまで続くのか嫌になってしまう。」
「nanasi しばらくは余震はしかたないですね RT @kukki」
「iguana ぽぽぽぽーん!」
「arufarufa ビックリした!あのアイドルが亡くなるなんて!」
「nanasi ほんと!私、意外と好きだったのに。 RT arufarufa」
見ず知らずの人々とどんどんつながっていく。意味のあるやり取りもあるが、ほとん
どは無意味なやり取り。それでも温かい心の交流があり、お互いにホッとできる何か
が生まれる。そういうフォローし合う相手が増えれば増えるほど、いや、フォローし
ていなくともツイート返しをし合う相手が多くなればなるほど、ツイッターと向き合
う時間もどんどん増えていく。一日中ツイッターのブラウザを眺めている。 でもいい
んだ。リアルな社会のお付き合いだと、利害関係が生まれたり、お互いに敵対し合っ
たり、妬んだりイラついたり。ここでは、そんなことはほとんどない。仮にあったと
しても、そんな相手は削除してしまえばもう二度と出会うこともない。だから私はこ
のツイッター というコミュニケーションが止められないのだ。
PC1でのアカウントは”nanasi”、PC2のアカウントは”onoko” 、携帯電話は
”kukki”スマートフォンは”iguana”、タブレットは”arufarufa”。いちいち切り替え
るのが面倒なので、私はすべてのデバイスを目の前に並べてそれぞれのアカウント
でツイートする。ぜんぶ私だから、ね、いがみ合いようもないでしょう?それにし
ても、DSとPSPとWiiのアカウントも含めて8人分が限界だなぁ。もっとデバイス
を増やさなきゃぁ、フォロアーが増やせない・・・。
了
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