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第八十一話 まさか…。 [空想譚]

 世の中に、「ま、まさか!」って思ってしまうことって、どれほどある?たとえば、

犯罪を犯して捕まった人のことを、近所の人にインタビューしているニュース。「ま

さかねー、あの人が…」っていうコメントはあまり聞かないね。「そういえば、なん

か人付き合いも悪いし、やっぱりね。」だとか「いや、礼儀正しい静かな人でしたよ。

人は見かけではわかりませんね。」後者は”まさか”に近いかもしれないけれど、ま、

そんなこともあるかもしれない的な、それほど驚いていない感じでしょ?

 たとえば、今まで付き合っていた恋人が「実は、あたし、男なの」これはちょっと

「え!嘘!」ってびっくりするかも。けど、最近ではあるかもしれないという風潮も

強いし。「実は、僕は本当は犬なんだ。」これはびっくりするっていうか、あり得な

いね。おとぎ話か、コメディ映画の中でしかあり得ない。だから、まさかの範疇に入

れるには荒唐無稽過ぎる。荒唐無稽と言えば、「本当はワタシは宇宙からやってきま

した。」これはどうだろう?昔から映画の中ではよく使われる設定。しかし、やはり

今の私たちの常識ではあり得ないことだけれども、犬の話に比べると、ひょっとして

あり得るかも?まさか?と思ってしまうのではないかしら?

 大事な人が突然亡くなってしまった。自分の役職が突然解除されてしまった。妻が

突然出て行ってしまった。これらは非常に身近にありそうな話で、「まさか!」と思

いそうだけど、でも考えてご覧。一瞬はまさか、そんな…だけど、それよりも「ドキ

ッ」だったり「ええー!」だったりじゃないかな?こう考えて行くと、だんだんわか

らなくなってしまいそうなので、ここでひとつ「まさか」の定義を考えてみよう。

 「まさか」とは、信じがたい。どこまでも信じられない。だけど、あるかも知れな

い。でも、それは自分には関係ないことでしょ?みたいな感じかな?

 さて、ここまでいろいろお話して来たのには理由がある。私がこれから話すことは、

読者諸君にとってまさしく信じられない、信じがたいことだが、もしかしたらあるか

も知れないといわざるを得ないことなのだ。なにしろ、証拠はどこにもないし、証拠

がわかった時には、世界が消滅している時だからだ。前置きはこのくらいにして、本

当にまさかの話をしよう。この世の中は、神が作ったとか、宇宙のビッグバンによっ

て生まれただとか、いろいろと証明できないような解釈がなされているが、それらが

証明できないのは当たり前のことなのだ。なぜなら、それらの仮説はすべて間違って

いるからだ。この世の中は、私が想像している世界なのだ。創造ではない。私が創造

主だなどといってるのではない。私の創造、言い換えれば妄想世界だと言ってるのだ。

つまり、君もあなたも、地面も空も海も、ぜんぶ私の頭の中の想像にすぎない。だか

ら私が妄想するのを止めた時、世界はパッと消えてなくなる。さっき、証拠を提示し

た時は世界が消える時と言ったのは、そういう訳なのだ。私が証拠を示すためには、

妄想するのを止めなければならない。そうすると、同時にこの世界は消えてしまうの

だから、証拠を見せることはできなくなってしまうのだ。わかる?わからない?この

世の中が全部私の妄想だって…?まさか、まさかね…。ほら、これがまさかってこと

なのさ。

                    了


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感想 1

Coo

脈絡もなく「まさか」という言葉を思い浮かべてしまい、後先考えずに書き始めたら、こんなんなりました。
by Coo (2011-04-17 23:10) 

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